装剣金工の名匠 後藤一乗
2019年11月23日(土)
2020年2月2日(日)
後藤一乗(1791~1876)は幕末から明治初めに活躍した装剣金工です。後藤家は代々将軍家の御用を務めた装剣金工の名門で、一乗は数えで十五歳の時にその分家の当主となりました。
一乗は若くから彫技を発揮し、文政七年(1824)、光格天皇のために刀装金具一式を製作した功により法橋の位に叙せられます。さらに、嘉永四年(1851)に徳川幕府の招きによって京都から江戸へ出て十人扶持を賜るなど、朝廷や幕府の御用を務めました。明治維新後も京都府の勧業場などで製作を続け、廃刀令が発された明治九年(1876)に亡くなりました。
後藤家では製作手法・素材・題材について先祖伝来の決まりごとがありましたが、一乗は使用が制限された素材も好んで用いています。また、絵画・俳諧・和歌にも長じたため、その素養を発揮した雅味ある作品を多く残し、後藤家代々の中で一風を成しました。
このたびの展示では、一乗の作品を多数ご覧頂くほか、一乗に影響を受けた装剣金工の作品もご紹介致します。後藤家の掉尾を飾った名工・後藤一乗による至妙の技と風雅な世界をお楽しみください。