よそおいの細密工芸
2015年11月21日(土)
2016年2月14日(日)
江戸から明治にかけての時代は、金工、漆芸、彫刻などの手工芸の分野において、技法的にも芸術的にも頂点に達していた時代と言えます。江戸の太平の世の中で、身を飾り装うことを楽しむ人々が増えると、実用を兼ねた刀の拵や印籠、髪飾りなどの装身具の意匠は、高度な技を駆使して美的に洗練されていきました。
しかし明治になると、武家社会の崩壊と生活様式の西洋化にともない、刀や印籠などの需要が激減し、制作に携わっていた多くの職人達が失業してしまいます。そうした中、懐中時計や帯留、指輪といった新しい装身具の需要が生まれ、優れた人材がこの市場に活路を求めました。そこには、江戸時代までに培われた一流の技術や感性が遺憾なく発揮され、花鳥風月や遊び心が表現された魅力的な作品が数多く生み出されました。
今展では、刀装具や印籠、髪飾り、帯留、カフス、指輪など江戸から明治にかけて作られた装身具を展示します。人々の装いに華をそえた名品の数々をご高覧下さい。