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明治の美術に魅せられて
清水三年坂美術館 館長 村田理如
美術館設立までのいきさつ
私が初めて明治の美術品と出会ったのは1980年代終わり頃のニューヨークでした。その頃はまだ会社勤めをしていたのですが、出張の帰り、たまたま入ったアンティークモールのとある店のショーウィンドウの前で目がクギ付けになってしまったのです。そこに並べてあったのは幕末から明治にかけて作られた美しい印籠でした。店の中に入ると、それまで見たこともない繊細で美しい明治の美術品の数々が、所狭しと置かれていました。その美しさにしばし我を忘れて見とれていました。気が付くと印籠を2本買っていました。その興奮を今も忘れることは出来ません。ホテルに帰ってから買った印籠を繰り返し繰り返し取り出しては、眺めてうっとりしていました。この世にこれほど細密で美しい美術品があったのかという感動でした。
その時以来、ニューヨークやロンドンに行く度に幕末・明治の美術品を購入するようになりました。またサザビーズやクリスティーズといったオークション会社のカタログを取り寄せ、書面ビッドをして落札するようになりました。そうこうするうちに収集品が大量に貯まり、置き場所にも困るようになり、一方で会社の仕事も忙しく、買った作品をゆっくり眺めている時間もなくなってしまいました。そこで、いっそのこと会社を辞めたら毎日好きな美術品を眺めていられるし、海外のオークション会場にも行って直接作品を見て落札できると思い、平成11年に会社を辞め、美術館設立の準備を始めたわけです。
海外に流出してしまった明治の美術品
集めるうちに気がついたことは、幕末・明治の美術品の名品はほとんどが海外に流出していて、日本国内には残っていないし、それらを本格的に展示している美術館も国内には存在していないということでした。特に金工(金属工芸)、七宝、印籠、根付等はひどい状態だということが分かってきました。これらの名品が、日本で市場に出れば、海外の業者の手に渡り、たちまち欧米に流出してしまいます。こういう事が、明治以降延々と続いてきた為に日本からほとんど姿を消してしまったのです。だから一般の人が明治の美術品の名品を見る機会はほとんどないといっていいかと思います。
明治以降、日本は急速に欧米の文化を取り入れ、生活スタイルも欧米化しました。学校教育も、美術や音楽は欧米のものが中心でした。日本人の美術に対する関心も、日本の伝統的なものより印象派の絵画や西洋骨董などに集まり、幕末・明治の美術品に関心を持つ人がほとんどいなくなってしまったのです。又、たとえ関心があっても欧米人ほど高く評価しない為、高額な名品は海外に流出していくのです。その結果、日本にはガラクタばかり残り、ますます明治の美術館に対する評価も下がってしまったのです。
一方、海外で一番人気のある日本美術は何かというと、それは幕末・明治の美術品です。欧米の美術館でも日本美術といえば、幕末・明治の展示が大半ですし、ニューヨークやロンドンの日本美術のオークションでも陶磁器、浮世絵と明治美術が中心で、明治美術の人気が高いのは日本と対照的です。
何故、明治の美術品が素晴らしいのか
明治時代ほど美術品が技術的にも芸術的にも高度な水準になっていた時代はなかったのではないかと思います。江戸時代は戦もほとんどない平和な時代が長く続きました。将軍家や大名家はお抱えの蒔絵師や金工師達に調度品や武具などを作らせていましたが、印籠や刀装金具などは、もはや実用品ではなく、お洒落を演出する為の小道具になっていました。そのために装飾技術が高度に発達していたのでした。又、一方で商人達が力をつけ、大名家をしのぐほどの財力を持った人達も現れました。彼等は競って町の蒔絵師や金工師達に贅を尽くした印籠や刀装金具などを作らせました。そして彼等の作ったものは、将軍家や大名家のものを上回る程、粋で洒落たものが多かったのです。
やがて鎖国が解かれ武家社会が崩壊すると明治政府は、お抱えの蒔絵師や金工師達たちの失業対策と殖産興業政策により、彼等に輸出用の作品を作らせます。それらの多くは外貨獲得の為に外人の好みに合わせて作らせた作品で、芸術的に評価の低かったものが多かったのも事実です。しかし、その当時、国内需要を意識して作られた帝室技芸員の人達をはじめとする一流の作家達の作品は、非常に洗練された芸術性の高いものでした。それらの作品には欧米文化の影響も受け、江戸時代のものとは異なった新しい感覚の作品も多く見られます。その後は日本人の嗜好が欧米文化に傾斜してゆき、蒔絵や金工に対する国内需要が減少し、衰退の一途をたどりながら今に至るわけです。
当館の展示方法、ならびに展示品
当館では宮内省(現在の宮内庁)はじめ、国内の数寄者向けに作られた一級の作品、および貿易用に作られたものではあるが、美術品としての価値が高いものを選んで、展示しています。
技法別に分類すると、蒔絵、金工、七宝、焼き物、彫刻などであり、用途別では硯箱、料紙箱、文台、香炉、香箱、小箱、花瓶、印籠、根付、煙草入れ、煙管、煙管筒、矢立、茶碗、刀装金具、帯留め、櫛、かんざし等があります。  時代としては明治を中心に幕末・大正あたりまでを含めて収集・展示をしています。どの分野をとっても今や再現不可能な細密で繊細で高度な技術で作られたものばかりです。
一階は常設展示室になっており、常時、蒔絵、金工、七宝、京薩摩焼の展示と技法の説明パネルや道具、材料、工程サンプルの展示と説明用のDVD映像を流しています。二階は特別展示室になっていて3ヶ月毎に企画展示をしています。一階の常設展示も一年で中身が全部入れ替わるよう、随時展示を少しずつ替えています。
いつの日か明治を越える蒔絵、七宝、金工等の作品が作られるようになる日が来るのが私の夢です。その為にもアーティストを目指す人達が当美術館にもっともっと足を運んでくれることを願っています。



清水三年坂美術館 〒605-0862 京都市東山区清水寺門前産寧坂北入清水三丁目337-1 TEL:075-532-4270 FAX:075-532-4271
E-mail:info@sannenzaka-museum.co.jp
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